雑想/夢物語2009.06.11 00:06
久しぶりに夢を見た。映画を見てからすぐ寝たからかな。

気が付くと夏だった。真夏。陽炎が立ってて蒸し暑かった。それは昼間だった。或る大きな広場に人々か行き交うのが見える。だるい、と思った。私は相変わらず袖の長い上着でジーンを履いてた。手にはちょっと大きい黒い鞄を持ってた。一人ではなかった。私以外にも5-6人位が一緒にその場に立っていた。待ち合わせをしているようだ。3分位経って誰かが「これじゃ遅れちまうんだよ。行こうね」と言って皆その広場の末にある建物に向かい歩き始めた。建物の中に入って地下に下りた。其処には大勢の人が居て、私は今から皆で何所かに旅行でも行くのか、と思った。

辺りを見渡せばどうやら高校生のようだ。担任のように見える人もいた。そうだ、どうやら修学旅行に行くみたいだ。だから私はさっきからだるいと感じていたのだ。私はその場から逃げたくて体がうずうずしていた。

「行きたくないな……」

と溜息みたいに愚痴を零した。ぼうっとしてると誰かが私の肩を軽く叩くのを感じた。振り向いてみると見知らぬ3-4人の人たちが私に手招いていた。

「なにぃ?」

とやる気の無い声で聞く。よく見ると男の子が二人、私を加えて女の子が三人だった。彼らは今から目立たぬようにこの場から逃げ出す、と言う。さっきから私の右腕にしがみついてる女の子が私の親友らしく、その子が「あの子(私)も一緒に連れ出してやろうね?」と頼んだから私を誘ったと言う。私は「あ、そっか」と短く答えた。どうせ、私の腕にしがみついてる子の性格をみりゃこの子から逃げ出す方法はない。

「じゃ、アンタも一緒に行くんだよな」

と他の男の子が尋ねた。私は頷いた。

その場からどうやって逃げ出したのかは覚えていない。気が付くと大きなマートの入り口だった。何故か買い物をしようとしてた。あの子達の話をよく聞いてみれば、今から買い物をして他の場所に1泊2日で旅行に行くらしい。私は急に「これじゃあの場から逃げ出した意味が無い」と思い苦笑した。私の親友らしいその子は私の気持ちに気が付いたよう

「あたし、あの子達と逸れたら家に帰ろうとしてるんだけど、○○ちゃん(何故か私の本名でもHNでもない名前だった)も一緒に帰ろー」

って言った。私は「いいよ」と返事して微笑んでみようと頑張ったが何故か失敗して、口元を歪めてしまった。幸い、あの子は私より先を行ってたので私の歪んだ表情は見れなかった。私の親友らしいあの子はさっきの子達に「あたし達はあたし達二人で買い物するからね、後で会おうね」と言ってた。あの子は嘘が上手なんだ、と思った。嘘を吐く時に何時も焦っちゃって「私は今、嘘を吐いています」と全身で喋っている私とは大違いだ。私の親友らしい子は直ぐ戻ってきては「とにかく買い物しようね?おやつ買おう、ね、おやつ」とかはしゃいでた。凄く明るい子なんだ、と感心した。あの子が「チョコレート買おうね?」と言って私の手を引いた。
チョコレートコナーに立った私は思わず苦笑した。此処は何所でもない夢の中の筈だが、何故かチョコレートのブランドはスウェーデンのばかりだった。あの子はミントの味がするチョコレートを私に見せて、「これ新商品だって、あたしはこれ食べる」と言った。私はレモンの味がするのを選んだ。それは、夢の外の世界では見かけた事の無いチョコレートで興味が湧いて来たからだ。なのにあの子は私に向けて「○○ちゃんは何時も同じモンばっかだね」とか言いながら笑ってた。私は「そんな事無い」と言いたがったが何故か「そうかも知れない」と思い何も言わなかった。

買い物を終えて出てくるとそこはさっき皆が集まってた建物の地下層で、今は空っぽだった。ポツンと立ってる私の手を私の親友らしいあの子が引っ張った。「そこに立ってるとあの子達に見つかれちゃうよ?はやくはやく」とか言いながら。トイレによっていこうね、とあの子が言ってそうすることになった。その日は凄く暑い夏の日だった。トイレからは神経を麻痺するほどの臭いがしていた。頭が痛い、と思った。

一瞬目の前が暗くなる、と感じたらまた別の場所で目を覚めた。そこは誰かの部屋だった。見覚えのある、薄暗い部屋だった。電気を点けていたがそれほど明るくはなかった。私の側には私の親友らしい子が立っていた。部屋の中に入った。黴臭くてべとべととした湿気が私を絡んだ。窓を叩く雨音が聞こえてくる。急に寒さを感じた。私の親友らしい子は窓近く(部屋の左側)のベッドに座り込んだ。「ここ、何所?」と聞きたがったが聞かなかった。私は考えた。そうだ、今日じゃないある日の夢でみた部屋だ。その時私は一人だった。一人、目を覚ますとこの部屋だった。そして部屋の右側のベッドには病人が横たわっていた。その病人は中年の男の人で病気の所為かすごく痩せていた。髪型は短い方で、眼は全てを貫くように輝きを放っていた。その輝く眼の下(目のふち)は病気の所為か黒ずんでいて、光を放つ眼とは凄く対照していた。その事を思い出した私は私の親友らしい子の向こう側をみた。そこにはあの日の夢とまったく同じに病人が黴臭い厚い布団に身を潜り目を輝かせていた。挨拶をしようとしたが、あの人がちょっと早かった。

「高校生かい」

と聞かれた。声は低く、擦れていた。私の親友らしい子は相変わらず明るく「はい」と言いながら、自分の名前と私の名前まで喋った。随分喋った後、私の親友らしいあの子は私に向けて「ねぇ?」と聞きながら私に同意を求めてきた。私は何も聞かずぼうっと立っていた所為で、あの子の「ねぇ?」って言葉にやっと夢の現実に戻った。私はとりあえず「ああ」と答えた。
病人は薄い笑みを浮かべていた。どうやら人と喋るのは結構久しぶりのようだ。私は病人に尋ねた。

「作家さんですよね。体の具合はどうですか」

と。私があの人を覚えているからあの人もきっと私の事を覚えているはずだ。私の親友らしい子はちょっと驚いた顔をして私とあの病人を見た。あの人は私をチラッと見ては「まぁまぁだな」と言っては咳き込んだ。そうだ。その人が読んでいる本が原稿用紙の上に置いてあった。

表紙は黄色く、手垢がついていて所々ボロボロになっていた。表紙の上には「太宰治」と書いてあった。

あの病人は咳が止むと私に聞いた。

「君は神の存在を信じるのか」

と、微かな声で聞いていた。私は暫く黙り込んで考えた。

「神は存在する、と思います。でも私は信じませんね。私には神様が要らない」

あの人と私は暫く哲学や神様に関して話し合った。最後にあの人は

「なぁ、どうせキリストは西洋からの神だろう。私達のような東洋人の事なんか構ってくれないモンだよな。」

と、自嘲するような苦笑いを浮かべて呟いた。私は立った侭あの人を見下ろして「そんな事ない」と言った。小さく呟いたのであの人に聞こえたかはよく解らない。でも全知全能な神様は救いを求める人を見捨てたりはしない、と思った。それは何所のどの神だって同じだと思った。神様は人々が救いを求めて作り出した「人間以上の何か」なんだ。だから、自分を作り出してくれた弱々しい人間を見捨てるなんて有り得ない、と思った。



そして私は夢から覚めた。
15時4分だった。
Posted by Lynn*