雑想/作2008.12.11 08:39
季節は巡りめくものだ。それは、地球が自転を止まらない限り変わるはずのない真理である。春に咲く花、夏に濃くなる木々、秋に彩る紅葉、そして白に埋め尽くされてしまう冬...が過ぎたらまた春が来る

私は今愛を失った。手放した、とは絶対言えないとても愛しく切なかった愛だった、が私だけだった
そう、片思いだったのだ

いつの間にか私の心の一辺に植え始めた感情に私は飲まされた。浸食。感情が私を蝕んでいた
四六時中あの人のことばっかり頭に入っていて途方に暮らした。今頃あの人は何をしているのだろう、誰と一緒に居るのだろう。あの人に会いたい、いや、会えなくともテキストだけでも良いから、話したい。

何が好きですか、どんな女の子がお気に入りですか。
私はあなたに会うと胸がギュッと痛くて何も言えない。
解ってくれるよね?
あなたと刹那だとしても目が合うと体が縛られたように動けない。微動すらできない。


そう、多分あなたも気が付いていたはず。それほど私はあなたのことが気になった。好きだった。
私はそれが「好きだ」と言う感情だと気付くのに遅かった。何時ものように。あなたは私にいつも優しい。恋人がないってことも知っている。ある冬の日凍えた私の手をあなたの温かい両手でギュッと掴んで暖めてくれたことは今でも忘れられない。あの暖かさを、あの温もりをどう忘れるとするんですか。

ある日、あなたと私は何故かいつもの場所ではなくあなたの家であった。夏だったらまだ日が沈んで行く時間だったが、あの日は冬の日だった。冬とはいえ、もう冬の終わりと春の始まりの間の微妙な季節だった。私たちは映画を見た。何を見たとすると何ともミュージカルの映画だった。結構古ぼけた映画だった。私は多分あの映画を二度と見れないと思う。映画の内容はまるごと子ども向けの童話のような話だった。
あなたはベットに横たわって、私はベットに腰をかかって映画を見た。映画が終わる頃私はあなたの側に横になって映画を見た。そう、今でも思う。もしあの時私があの時とは違う答えをしたのなら、今の私たちもこのようにバラバラにはなってないのだろうか、と幾度も聞いてもまだ私には解らない。

そう、私たちは愛撫をした。キッスをした。
意味のない言葉を交わした。抱きしめていた。心臓の声を聞いたりもした。
大人の遊びをした。
薄暗く、薄青いちっぽけなあなたの部屋の中、ベットの上で抱いたり転んだりした。

私はあなたに聞いた。
「私のことが好きですか」とけっこう真っすぐな質問だった。
あなたは答えた。「友達としては好き。でもその以上は解らない」と答えた後「君は僕のことが好きですか」と聞き返した。私はどうも解らなくて「私もあなたのことが友達としては好き。でもその以上は解らない」と答えた。それはあの時素直な感情だった。私はあの頃あの人のことが好きかどうか解らなかった。
そうお互い聞いた後、また緩やかな愛撫をした。
「君としたい」とあの人が言った。私は「いやです」と答えた。「私のことが好きではない人とはしたくありません。」「もし僕が無理矢理しようとするとどうしますか」と聞かされた。私は何も言わず接吻した。有り難いことにあなたは無理矢理私を犯すようとしなかった。
愛のない長い愛撫の後、私は帰宅した。

ある冬の日だった。

もうすぐ一年になる、ある冬の日だった。
季節が巡りめくようにあなたの記憶も巡りめく。
今はあなたのことが好きではない。嫌いなわけでもないが、好きではない。
もう二度と会えないと、今ははっきり解っている。そう、私たちは道の上ですれ違うことすらないで欲しい。
会わない方が良いと思う。そしたら何時か記憶の中で色褪せ、やがては記憶から零れ落ちてしまうから。そう、そうなるのが良い。もう恋い焦がれる必要もなく、もう切なく心を病むこともないでしょう。

...この冬が過ぎたら、また春が来る。そしたらあなたは私の記憶から少し色褪せてゆく。
季節が巡りめく度あなたは少しずつ遠くなるのでしょう。
そう、今では言える。ちゃんと言えなかった言葉を、今更遅いが、遅すぎるが、あなたに言えなかったでも言いたかったその言葉を贈ります。

有り難う、そしてサヨナラ。
Posted by Lynn*
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